「月姫 -A piece of blue glass moon-」 感想

PS5・PS4

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前置き

一部の人は(2008年の発表から)待ちに待った「月姫」のリメイクをプレイしました。
私はFGOもプレイしていないため、TYPE-MOON作品としては「Fate/stay night」、「Fate/hollow ataraxia」に次ぐ三作目となりました。
このFate二作にドはまりしたため、なるべく事前情報を入れずにプレイしてみましたが…

これが、まあ面白い!!

「名作とされる作品のリメイク」・「プレイ済みFate二作の面白さ」と、私の中でかなりハードルが上がっていたにも関わらず易々と超えてきました。
どれくらい超えてきたかというと、トゥルーエンドルートの終盤で止め時がわからず、5章分まとめてプレイしてしまったくらいです。(1ルートは大体15章あります)

こんな感じで止め時を見失うほどのゲームなのですが、ノベルゲームのためストーリーに面白さが集約していると言っても過言ではありません。
なるべくネタバレはしないように気を付けていますが、事前情報ゼロで楽しみたい人はこのページを今すぐ閉じて、気が向いたらプレイ後にまたお会いしましょう。

キャラクター別感想

登場人物全員の紹介は書く側も読む側もしんどいので、主人公と関りが多い(と主観で判断した)キャラを抜粋して紹介していきます。

遠野志貴

本作の主人公

過去の一件から、「死の線」=「線に沿ってナイフを入れれば何でも殺せる線」が見える様になってしまった中々ヤベー状態の高校二年生。
基本的には志貴の視点で物語が進んでいくので、本作をプレイするためのハードルとして志貴の心理描写を気にする方もおられると思いますが、ちょっと強めの正義感を持った好青年という感じでとっつきにくくはないと思います。


Fateの主人公衛宮士郎をご存じの方は、士郎から「度を越したお人好しさ」を抜いた感じをイメージしてもらえば大体あっていると思います。
たいていの物事は細かいところまで気がつくのに、女の子の機微には気づかない鈍感さなどはそっくりです。

キャラデザは正直無難という印象ですが、戦闘シーンではメチャクチャカッコよく描かれているので個人的に不満はないです。

アルクェイド・ブリュンスタッド

吸血鬼のお姫様なメインヒロイン

これはかわいいと言わざるを得ない本作のヒロインの一人。
クールなお姫様な要素もありながら、世間知らずで奔放な様子も垣間見られる最強属性の持ち主。
「月姫をプレイしてアルクェイド好きにならない奴はいない」と言い切れるほど魅力にあふれたヒロインだと思います。


Fateをご存じの方は、セイバーから腹ペコ属性を抜いて女の子的な素直さやや増しにした感じをイメージしてもらえればいいかと思います。
メイン級の女の子たちの中でも(おそらく)一番出番の多いキャラなので、アルクェイド好きな方は最後まで推し続けられます。

キャラデザも奔放さと共に気品の溢れる素晴らしい出来になっていると思います。
金髪に赤色の瞳も互いに映える関係になっていて良いと思います。
秋葉のデザインも好きですが、やっぱり本作ではアルクェイドが一番好きです。

シエル

カレー・先輩

この二つの要素でほぼ語れているような気がしてしまう本作の二人目のヒロイン。
志貴の先輩というポジションのため、先輩→後輩や後輩→先輩としてのお互いのいじり方が好きです。後輩をいじっていたつもりなのにカウンターを食らっていたなど可愛い要素は多分にあるのですが、いかんせんアルクェイドの魅力が強すぎて個人的にはヒロイン度は負けていたように感じました。

基本的にメガネヒロインは好みじゃないんですが、デザイン的にはあまりマイナスな印象は抱きませんでした。
ストーリー進行上はメガネをかけていないシーンの方が多い気がするからですかね。

遠野秋葉

ツンツンツンデレの妹

登場シーンの7割はツンツンしながら志貴”で”遊んでる正統派美少女妹様です。
本作では秋葉ルートが無いためデレの割合がかなり少ない気もしますが、ツンデレの良さって元々そういうものなので問題ないですね。序盤にある志貴を呼び戻す云々のくだりで既にデレてるのは内緒。

キャラデザも黒髪ロングで細身と昔から愛されるデザイン。
もちろん私はちょろいオタクなので大好きです。

翡翠

優しさ表現が不器用なメイドさん

お手伝いさん双子の妹であり、志貴付きのメイドさんなので朝の目覚めは基本的に彼女のシーンになります。
当主である秋葉の命令よりも志貴の都合を優先するなど、志貴のことを大切にしている描写には可愛さを感じずにはいられません。
抑揚が乏しいながらも自身の芯を持っているように感じられたのは声優さんの力ですね。

キャラデザについては、ここまでThe・メイドな感じは近頃珍しくて良いですね~。

琥珀

ほんわかムードメーカー家政婦さん

琥珀さ~~ん。と思わず泣きついてしまいそうになるくらい包容力を持った双子の姉。
細かいところに気が付いたり、志貴のために秋葉の命令にこっそり背いたり優しさが爆発しています。そのうえ自分のペースで会話を引っ張っていくこともあり、クラスにいたらほとんどの男子が好きになってしまう系の女の子。
翡翠が志貴付きなのに対して琥珀は秋葉付きなので、二人きりになるシーンは貴重です。
見た目的に琥珀派のあなたはその一瞬を大切に過ごしましょう。

キャラデザも和風で落ち着きが感じられて良いですね。

ゲーム要素別感想

ストーリー

大別してアルクェイドルートとシエルルートがあります。
ルートと言っても最初は絶対にアルクェイドルートに入るので特別意識せずに進めてもらって構いません。
シエルルートへの入り方も「教えて!シエル先生」のコーナーで教えてもらえるので心配は無用です。

ヒロイン論争の結果としては、アルクェイドの方が好きですね。
アルクェイドにもシエルにも愛着は沸きましたが、ヒロインとしての好みではアルクェイドの方が上でした。
アルクェイドルートではシエルの出番がかなり少ない分、アルクェイド側の心理描写が丁寧で志貴との関係性が微笑ましく感じられたことも要因になっていると思います。
終盤にアルクェイドが敵地へ向かうシーンは、まさに「月姫」という感じでかなりお気に入りです。

また、シエルルートでもアルクェイドと志貴の微笑ましいやり取りが結構見られるので、最後までアルクェイド不足には陥りません。

アルクェイドルートの話ばかりで、シエルルートは微妙なのかと言われそうですがそんなことはありません。単純な長さ的にはシエルルートの方が長いです。
あくまで私の中のヒロイン要素では敗北しただけで、アルクェイドルート後に解放される分だけ物語全体における伏線回収が行われる点は素直に高評価です。
更なる伏線もばらまくことで、生殺し状態にされたのは辛いですが。

  • 個人的に回収が難しかったシーンについて

3日目:反転衝動で、「ありきたりなHR」にしか入れないそこのあなた。
もう一つの「先輩のいるHR」を見るためには、それまでの選択肢で徹底的にシエルを無視しましょう。
私みたいにこの1シーンのために一時間もかけないように! (細かな検証はしていないので参考程度でお願いします)

システム

ページ送り関係はノベルゲーにある程度慣れている人なら十分使いやすいと思います。
私が特に良いと思ったのはフローチャート機能です。
回収できていないシーンやエンドなど分岐ルートが把握できるため、「教えて!シエル先生」のコーナーと合わせることで自力攻略も十分可能です。
(一部フローは直前以外の選択肢に左右されるので詰まったら攻略サイトもアリです)

不満点としては、選択肢以外の既読シーンは早送りはできるものの完全にスキップできなかった点ですかね。
Configなどもいじってみたのですが、シーン回収時はどうしてもスキップ機能を連続で使う必要がありました。
私が十分に機能を利用できていない場合は申し訳ないです。

音楽

大・変・満・足ですね。

ノベルゲームは戦闘が無い分音楽に割かれる意識の割合も大きいと思うのですが、非常に心地よくプレイできました。
戦闘描写の裏ではドチャクソカッコいい曲が流れていたかと思うと、コメディ的な場面ではとことんコミカルな曲が流れます。
また、場面別はもちろんキャラ別にも異なる曲が使われるので、キャラのイメージが強く固まります。この細かさが作品全体の面白さを向上させているんでしょうね。

OP・EDや各種BGMも素晴らしいですが、個人的にはアルクェイドルートのクライマックスシーンのBGMが一番好きです。聞くだけで泣けてきます。
サウンドトラック早く買わせてください、11月は遠すぎる…。

おわりに

直前までプレイしていた「十三機兵防衛圏」(感想記事)に続き、濃厚な物語を楽しむことができて非常に満足しています。
ノベルゲームはストーリーが評価ポイントのほぼすべてを占めてしまうのでキャラクター紹介をはじめとして、非常にふわっとした感想になってしまい申し訳ありません…。
逆に言えばそれだけ自分でプレイする価値の高いゲームということになります(?)ので、ぜひ遊んでみてください!

本作は「月の表側」の話で、残された伏線や屋敷の妹やお手伝いさんの双子とのお話は「月の裏側」を語る続編に収録される予定らしいです。
本作の販売数も非常に好調なようですし、収支とかは気にせずにできるだけ早く発売して欲しいですね。頼みます、ホント。

こんな感じで「月姫 -A piece of blue glass moon-」の感想を締めさせていただきます。
お付き合いいただきありがとうございました。



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